東京Art[1]作品の向こう側

まずは恵比寿ガーデンプレイスにある「東京都写真美術館」から。私は写真を撮る方はてんでダメなのですが、見るのはとても好きなのです。絵画などのファインアートよりも、ファインダーを通して観るものはリアルな分だけなんだかドラマを感じるのですよね。

このときは3つの企画展が開催されていてセット券で割引がありました。

一つ目は「写真のエステ」—光・反映・表層・喪失感・参照の五つのエレメントから作られているコレクション展。植田正治や奈良原一高など、私でも知っている作家の作品も並んでいます。「エステ」というのはそもそも「美学」。色々なテーマをどう捉えて作品にするのか、美の在り方をどう捉えているのか、興味深く観ることができる作品ばかりです。

二つ目は「日本写真の1968」この年代はあらゆる方向で激動の時代だったと思いますが、写真の世界もまた変容の激しいときだったようです。1968年を中心に60年〜70年代の変容の軌跡が展示されています。こちらも私の知っている森山大道の作品が並んでいました。

美術館入口への通路。どこかで見た写真、だと思ったら植田正治さんの作品がでっかく。

三つ目は「世界報道写真展」これはもうレンズ越しありのままのリアル、かなりショッキングなものも多いです。まるで映画の1シーンのようにも見える、けれど現実に世界のどこかで起こっていること。カメラマンたちは何を思い、時には危険を冒してまで、どう写真を撮ったのか・・・「世界の今」を直視して、希望を持てる社会の実現には何が必要なのか、改めて色々と考えさせられる写真展です。始まったばかりの企画展なので多くの人が観に来ていました。また、それほど関心の高い企画展なのでしょう。

リアルを映す、と言っても写真は映像ともまた違って音がない分、向こう側と言うか、その時の状況や背景など色々と考えてしまうことが多いのかも。激しい動きの一瞬、時間を止める。時間や風景を切り取る。その瞬間や前後を考えずにはいられない、写真にはそういう魅力を感じるのです。